パテ不使用の本革リペアとは
一般的なシートリペアでは、損傷箇所にパテ(充填剤)を盛って形を整え、上から着色する方法が主流です。この方法は早くて安いのですが、仕上がりに問題があります。パテは革よりも硬いため、修復箇所の触感が変わります。時間が経つとパテ自体がひび割れて、再修理が必要になることもあります。
PROTENAが採用しているのは、パテを一切使わないリペア技法です。革の柔軟性を損なわない専用の補修材を薄く、何層にも重ねていきます。一層ごとに乾燥させ、革の質感とシボ(表面の模様)を丁寧に再現します。手間と時間はかかりますが、仕上がりの質が根本的に違います。
革は「生きた素材」です。座るたびにしなり、温度や湿度で伸縮します。この動きに追従できるのは、革と同じ柔軟性を持った補修材だけです。硬いパテでは、いずれ革の動きについていけなくなります。
この技術は北陸ではほぼ対応できる業者がいません。PROTENAでは、内装リペア専門会社での実務経験を持つ一級整備士が施工を担当します。
対応する症状
以下の症状でお困りでしたら、張り替える前にまずリペアで対応できるか診断します。
ひび割れ
経年による乾燥・硬化で発生する革表面の細かいひび割れ。放置すると亀裂が広がり、最終的に表皮が剥離します。
破れ・裂け
乗降時の摩擦やバックル、鍵による引っかき傷が深くなったもの。サイドサポート部分に多く発生します。
焦げ穴
タバコの灰や線香の火種による焦げ穴。穴が小さくても、そこから革が裂けていくことがあります。
色移り(デニム等)
デニムや染料の強い衣類から革への色移り。明るい色の革シートでは特に目立ちます。専用の脱色・再着色で対応します。
擦れ・色褪せ
乗降の繰り返しによるサイド部分の擦れ、紫外線による退色。座面やハンドル接触部に多く見られます。
硬化・ひきつり
革に含まれる油分が抜けて硬化し、座った時にシワが戻らなくなった状態。革本来の柔軟性を失っています。
Comparison
パテ使用 vs パテ不使用
同じ「シートリペア」でも、パテを使うか使わないかで仕上がりは大きく変わります。
| 比較項目 | パテ使用(一般的) | パテ不使用(PROTENA) |
|---|---|---|
| 仕上がりの質感 | 表面が硬く、革本来の質感と異なる | 革のしなやかさ・柔軟性を維持 |
| 耐久性 | 経年で割れやすい(パテ自体がひび割れる) | 革と一体化するため長期安定 |
| 触感 | 段差やゴワつきが残る場合がある | オリジナルに近い触り心地 |
| 修理跡 | 光の加減で修理箇所がわかることがある | 自然な仕上がりで修理跡が目立ちにくい |
| 再修理 | パテの除去が必要で手間がかかる | 柔軟な素材のため再施工が容易 |
対応素材
本革(レザー)
牛革・羊革など天然皮革全般。経年変化で味が出る一方、乾燥や摩擦に弱い。高級車の標準装備に多く、リペアには革の特性を理解した色調整と表面処理の技術が必要です。
合成皮革(合皮・PVCレザー)
ポリウレタンやPVC素材の人工皮革。本革より安価ですが、加水分解によるベタつきや表面の剥がれが発生します。素材に合わせた接着・着色で修復します。
アルカンターラ(スエード調素材)
イタリア・アルカンターラ社製の高級スエード調素材。ポルシェ、BMW M、AMGなどスポーツモデルに採用。毛羽立ちや汚れの染み込みに対応するには専用の技術が必要です。
ファブリック(布地)
織物・編物のシート素材。焦げ穴や破れは編み目の再現が必要なため、一般的なリペア店では対応が難しい素材です。
施工の流れ
現車確認・損傷診断
損傷箇所の状態(深さ、範囲、素材の種類)を確認します。革の状態は見た目だけでは判断できないため、触感・柔軟性・色の退色具合まで丁寧に確認し、最適な施工方法をご提案します。
洗浄・脱脂
革専用のクリーナーで汚れ・油分・古い保護剤を除去します。この工程で革本来の状態を露出させ、補修材の密着を確保します。脱脂が不十分だと、修復材が剥がれる原因になります。
下地処理・損傷補修
ひび割れや破れの場合、革専用の補修材で損傷部分を丁寧に埋めていきます。パテは使いません。革の柔軟性を損なわない専用の充填材を薄く重ねることで、革と一体化した自然な仕上がりを実現します。
色調整・着色
オリジナルの色に合わせて調色します。革の色は経年で変化しているため、現在の色に合わせる微調整が必要です。シボ(革の表面模様)を再現しながら、エアブラシで均一に着色します。
トップコート・保護
着色面を保護するトップコートを塗布します。耐摩耗性・耐紫外線性を持つ保護層により、修復箇所の色落ちや劣化を防ぎます。革本来の質感を残しつつ、耐久性を確保します。
最終検品・納車
自然光と人工光の両方で修復箇所を確認し、色味の違和感や段差がないかチェックします。触感も確認し、革本来の柔らかさが維持されているか最終判断を行います。
担当技術者
富永 風勝Fukatsu Tominaga
一級自動車整備士
群馬自動車大学校卒業後、日産ディーラーで板金塗装に従事。その後、PPF・板金・内装リペア専門会社で本革リペア・シート張り替え・天井張り替え・ダッシュボードリペアの技術を習得。群馬自動車大学校で講師も務めた経験を持ちます。
本革シートのパテ不使用リペアは、富永の専門技術です。一級整備士としての車両全体への理解と、内装リペア専門会社で培った繊細な手技を組み合わせた施工を行います。
よくある質問
01どの程度の損傷まで修復できますか?
ひび割れ、破れ(10cm程度まで)、焦げ穴、色移り、擦れ、硬化など、ほとんどの症状に対応可能です。ただし、革が完全に裂けて下地が露出している場合や、広範囲にわたる深刻な損傷は、張り替えをお勧めすることがあります。まずは現車を拝見させてください。
02リペアと張り替え、どちらが良いですか?
損傷が軽度〜中度であればリペアが最適です。オリジナルの革を活かせる上、費用も張り替えの半分以下で済むことが多いです。逆に、広範囲の損傷や革そのものの寿命が来ている場合は、張り替えの方が結果的に満足度が高くなります。どちらが適切か、現車を見て正直にお伝えします。
03修復後、見た目でわかりますか?
パテ不使用のリペアでは、革の質感と柔軟性をそのまま残すため、修復跡は非常に目立ちにくいです。ただし、完全に元通りになるとはお約束しません。「限りなく近づける」のがリペアの仕事です。仕上がりの目安は、事前にお伝えします。
04施工期間はどのくらいですか?
損傷の程度と範囲によりますが、部分的なリペアで1〜2日、シート全面の場合で3〜5日が目安です。乾燥・養生の時間を十分に確保するため、お急ぎの場合は事前にご相談ください。
05クラシックカーのシートも対応できますか?
対応可能です。富山県・北陸はクラシックカーの集まりが多く、ご依頼をいただく機会が増えています。年代物の革は現行車とは異なる特性を持つため、素材の状態を慎重に見極めた上で施工します。オリジナルの風合いを残すか、新品同様に仕上げるか、ご希望に合わせて対応します。
06合皮やアルカンターラも修理できますか?
はい、本革以外にも合皮(PVCレザー)、アルカンターラ、ファブリック(布地)に対応しています。素材によって使用する補修材や技法が異なるため、素材の種類を正確に特定した上で施工します。
まずは、ご相談ください。
シートの状態を拝見してから、リペアが適切か張り替えが適切か、正直にお伝えします。 写真をLINEでお送りいただければ、概算のお見積もりも可能です。
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